No.332


2020年 4月 卯生

 閉塞感ただよう中、お元気でしょうか。

 新型コロナウィルスの感染は、とうとう、それもあっという間に、世界地図を真っ赤に染め
てしまいました。
 そこに、東京オリンピックがからんできて、ニュースから目が離せない毎日。

 また、終戦75年目の今年は、十万人もが無差別の空襲で焼き殺された東京大空襲に
関する、さまざまのイベントも縮小したり、流れたり。

 3.11の福島の方々のその後も、今年こそが正念場だと思うのですが、コロナや
オリンピック問題のかげに隠れてしまっている気がします。

 さらにそのかげに霞んでいるのが、この季節の猛威・花粉!
 新聞の花粉地図も、真っ赤っか!
 この花粉症の辛さは、なってみないと分からないかもしれません。
 が、数年前から、自分の体質に合った薬を見つけることが出来、そのおかげで、、
ずい分症状がやわらぎました。以前は寝込むほどだったのですが、マスクとメガネで防御
し、外出もできるようになりました。

 しかし、まァ、なんて重たい春なのでしょうか。
 「春」のイメージって、桜が咲いて、卒業式から未来に旅立って、と、明るく開放的なのに
ね。




 コロナ問題で揺れるさまざまな報道やコメントの中で、ジャーナリスト。木村太郎さんの
「国際通信」(東京新聞・3月24日)に、考えさせられること大でした。
 大体、次のような内容です。

 オンラインの映像配信会社「ネットフリックス」が、一月末、と云うことは、コロナ問題が
勃発する直前でしょうか、「パンデミックー知られざるインフルエンザの脅威」と云う、
ドキュメンタリーシリーズ番組を公開したのだそうです。
 その中で、来るべき新しい殺人的インフルエンザの大流行に警鐘を鳴らし、
 中でも、パンデミック(世界的大流行)にどう備えるべきか、と、「万能ワクチン」の開発の
急務を説いています。

 番組の中では特に、その「万能ワクチン」の開発の一つとして、米サンフランシスコ近郊
「ディストリビューテッド・バイオ」社の創業者を追っていますが。
 このワクチンの開発は、既に動物実験の段階までに差しかかっているものの、
 その費用二百万ドル(約二億二千万円)の調達に苦労しているとのこと。
 ひも付きの資金ではなく、マイクロソフト社の創業者で億万長者の、ビル・ゲイツ氏の
支援を期待している。
 そして、「昨年八月、同氏の財団は、万能ワクチン開発援助に、総額千二百万ドルを、
複数グループに提供すると、発表」
 と云うことでした。

 木村太郎さんは、「われわれがいかに無防備だったかを、改めて痛感する」
 「何年かして、また、パンデミックを警告するドキュメンタリー番組が、(今回のように)
ドンピシャのタイミングで、と云うことがないように、万能のワクチンの開発が急がれる」
 そして、ゲイツ氏に頼るだけでなく、私たち「母国」も力強く後押しすべきだろう、と。




 人間って、お金の使い方をみれば、その人がなにを考えているのかがよく見えるもの。
 国の予算だって、そのグループの間でだって、同じこと。
 大切だと思うこと、欲しいことに使いますよね。

 無防備だということは、
 責任ある立場の人たちが、こうした事態を一切予測できなかったか。
 又は、専門家からの進言に耳を貸さなかった、無視してきた、と云うことなのでしょうか。
 その結果が、今のこの状態。すべて後手にまわってる。
 だから、根本的治療手段が無くて、出来ることは、人と人とが群れるな、くっつくな、風通
しを良くしろ、マスクをしろ、だけ、
 たしかに、これ、基本的な注意事項ではあっても、原始的な対策だけともいえて、第二次
世界大戦中大流行した「結核」を思い出しました。
 同じだ、って。

 当時、まるで風邪にかかるように、結核でバタバタと死にました。
 結核にかかった人の家の前は、「息をしないで、走って通りなさい」と云われ、とうとう、
最愛の母も、あっという間に死んでしまった、あの時と似てるなァ、って。
 そう、「この薬があれば大丈夫」と云う治療薬が無かった(又は、一般人には手に入らな
かった)ところが、コロナとそっくりです。
 母を亡くしているせいか、今回も、その根本的治療薬のワクチンのことが、私は、特に
気になるのかもしれません。




 さて。このコロナ騒動で、不要不急の用以外外出するなとのお達しに、まわりの友人た
ちは、
 「まあ、この際、いつも手付かずの資料や、戸棚の中を片付けているけど、ね」
 ろ、云う人が多いのですが、私も似たようなもの。
 読書量も増えました。

 と云っても最近は、裸眼での読書にもかげりが出てきて、すぐ疲れて、チラチラし始める
ので、長時間一気呵成にが、なかなか出来なくなりました。
 そこで、特に夜、眠る前のゴールデンタイムは、写真や図版入りなど、ビジュアル系の
ものを楽しんでいます。

 まず、白川靜さんの漢字の成り立ちに関する本を本棚からひっぱり出しました。
 「白川靜の世界」(平凡)とか、「白川靜さんに学ぶ・漢字は楽しい」「漢字は怖い」(共同通信社)

 この中で、私が、強く惹かれている字に、「道」があります。
 「なぜ、道の字には、首があるの?」

 この、これまで考えもしなかった問いに、
 答えはこうです。
 それは「道は邪悪なものが潜んでいる非常に危険な場所ゆえに、異族の首を刎ねて持
ち、その首の呪力によって、道に潜む邪悪な霊を祓いながら進んで行ったからです」
(「漢字は怖い」P174)


 あァそうなんだ、と、目から鱗が落ちました。
 何度読んでも面白い。
 科学が発達していない太古の昔。
 自分たちが住んでいる村落共同体のエリアの中は安全でも、そこから外へ出ていくのは
とても勇気のいることだったでしょう。
 その時、自分たち以外の異族の首を刎ねる、
 そうすると、首を切られた人は、きっと、すさまじい恨みの形相で死ぬでしょう。
 その、かっと見開いた眼の、呪いの表情の首を棒の先に提灯のようにぶらさげて、外の
世界への道を歩いて行くと、その道に潜む悪霊は、そのすさまじい首の呪い力でやっつけ
られる。
 というわけで、道と云う字には、首が必要なのだと云うわけです。

 因みに、白川静さん(1910-2006)の漢字学は実に体系的で、それまであった、中国の
説に鋭い批判を加え、新しい漢字体系を打ち立てた方。漢字学の第一人者で、文化勲章
受賞。
 実にわかりやすく、納得のいく内容で、何度読み返しても新しい発見に満ちていて、
ワクワクします。


 そして今、コロナという、目には見えない新型ウィルスの前に、対症療法しかできないで
いる、2020年の私たちのことを考えてみると、
 なんだか、この、首をぶらさげた頃の人たちと、同じ人間として、見えないものに対する
恐怖の感覚は、同じだナ、と、なんとも複雑な気分。
 それも、ワクチンも開発されていなくて、やっつける方法がないこの怖ろしさは、ほとんど
同じみたい……。




 親しい同世代の友人から電話があり、「ともこさん、今すぐコンビニに行って、冷凍食品
やインスタントなど確保しておきなさい」と云われたのが、夜の8時すぎ。
 今、東京では、ギリギリのところで踏みとどまっているようにみえるけど、ここをもう一つ
超えると、「封鎖」も現実になるかもしれない、の瀬戸際。
 緊急記者会見のTVの小池都知事の顔も、緊張していました。

 たしかに、自分のためにも、他人に迷惑をかけないためにも、高齢であることをしっかり
自覚し、外にうろちょろしないように。
 せめて、一週間は持ちこたえるだけの食品を、と、もう一度気持ちをひきしめさせてくれ
た友人からの電話でした。




 それにしても、地球は、「せまく」なりましたね。
 あっちの国から、こっちの国にと、かくも大勢の人々が、当たり前に往復している日々で
あることを、これほど、実感として捉えたこともありませんでした。
 あれよあれよと、あっという間に広がって……
ただただ、おとなしくして、終息を願うしかできなくて……
 一年後に延期されたオリンピック・パラリンピックも、問題・課題山積みでしょうけど、
とにかく、こうなったなら、無事に平和に開催されますように、と願うばかり。

 あなたの健康と笑顔を、祈り、思うばかりです。
 どうぞ、お元気であってください!





                                         2020年 4月 1日
                                            
                                            今井登茂子
                                                                                               


     


 
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