No.369
12月 師走

 
 まだ暖房もかけないまま。12月に入りました。
 寒暖の差が激しすぎて、体がついて行けません。
 お元気でしょうか。

 クレジットカード引落しの明細書をみれば、「あァ やっぱり増えている」面白くない…
この物価高に対抗のしようもなくて、ただ、うんざり…。

 おまけに、近所の渋谷駅界隈は大混乱。
 バス停がどこだか、分からない。
 改札口がどこだか、分からない。
 改札口が変わりすぎて、出口が見つからない。
 エレベーターに至っては全く分からない……
 そして、これがまだ数年続くと云うので、私は心の中で思ってます、
「私の生きているうちに、キレイになっている姿は、ムリね」と。
 そして、そして、この再開発とやらで、やたらに林立する高層ビルで、もう、空がなくなって
しまいました。
 いったい、誰のタメの再開発?

 更におまけに、神宮外苑のみどりを伐採して、ここにも高層ビルを建てる、という愚行。
信じられません。
 ここは、百年前の人たちが、後世の人々、つまり、今の私たちにと、全国から集めた木を
一本一本植えた、都内でも希少価値の癒しの場だと云うのに。


 環境問題だけでなく、人の心も、考えることも、全て便利ではあっても、なんて殺伐として
しまった今なのでしょうか。

 特にSNSなど、あまりにも大勢とつながることの怖さ。みんな、分かっていない気がして、
それも恐いです。
 因みに私は、パソコンは使っていますが、スマホは使いません。
 ケータイは、電話とメールが出来れば充分です。
 ですから、今はもう当たり前の「QRコード」も、私にとっては、不便なことはありますが、
無関係と割り切って暮らしています。

 既読がつけばそれでOK。
 と云うことにばかり慣れてしまって、直接会っても、まともに会話できない人の群。
 寂しいなァと思います。
 それに、みんな自分本位で、なんて優しくなくなっていることか……。


 更に、今感じている不安感のナンバーワンは、生成AIが、それを研究している人の言葉
を借りると、「研究者の理解を超えるほど賢くなっている」のだそうです。

 ザックリ云ってみれば、
 AI(人工知能)は、私たち人間の話すことばを収集し、身につけ、分析して答えを出して
いるわけで、
 もし、人間の間違った考えや、フェイク情報をAIが身につけたら、「うそをついてもいい」
ことを学んでしまったら。
 そうしたら、予想もしていないことを、AIがはじめてしまうかもしれませんよね。
 殺人や、戦争で、地球を支配してしまうかもしれない。

 その危険を、様々な専門家が指摘しているところでもあり、気の小さい私などは、耳に
しただけで気分が悪くなります。不気味です。

 私たち人間は、このモーレツにスピード化した世の変化の中で、
 どこへ行こうとしているのでしょうか。
 一番大切なものは、何だと信じて生きているのでしょう。

 精神的に、ざわついて、ぺちゃんこになって、正直いって、「元気」とは云えない、
この12月です。




 その中、「でも、だから」と、気持をふるい立たせ、この12月には、主宰している
朗読「水の会」のクリスマスコンサートをGOさせます。

 朗読は五作品が並びます。
 「クリスマスの鐘」
 「雪のサンタマリア」
 「LIFE(ライフ)」
 「サーカスのライオン」
 「星の王子さまから・キツネのことば」


 音楽は、合唱とカウンターテナーで、
 「讃美歌466番」
 「キリエ」(テオドール・デュポア作曲)
 「夏野」(ウェバー・魔弾の射手序曲より)
 「世界の約束」(谷川俊太郎作詞・木村弓作曲)


 この中を、一気通貫して流れるテーマは「愛」と「日常の大切さ」について。


 そう、私たち人間が、なにがどうあっても決して忘れてはならない「人間としての尊厳」
であり、愛や思いやりこそが存在理由そのものだと考えているからです。

 お金もない、場所もない、でも、心意気だけは私たち誰にも負けずに持っています。
 それに、「今年は、いつ?」と待っていて下さる方々は、私たちの心の一番の支え。
 又、大声を出す発声練習は、教会が地下の駐車場横の倉庫を無料で貸して下さるなど
本当にありがたい!




 そうそう、AIはどんなに進化しても、あくまでもキカイ。
だから、言葉と言葉の間で息つぎをしません。
 でも、人間は呼吸します。
 息を吸って吐かなければ、読めません、歌えません。

 感情が高ぶると胸が苦しくなり息がつまったり、
 驚くと、ハッと息が止まったり、と。
 活きている人間だからこそ、さまざまな感情の中での息つぎが生れます。
 そこが、朗読の面白いところ、人間のぬくもりがにじみ出るところでもあります。
 字面だけを音声化するAIとは、全く違います。




 星の王子さまの中で、キツネが王子さまに云います。
 「なに、大切なことは、目にみえないんだよ」

 そう、何気ない日常の中にかくれている、人間らしさの「愛」について、
クリスマスコンサートでは、さわやかにみんなと再確認し、楽しみたいと思います。
 そして、私たちの日々の生活の中に、目にはみえないぐらいささいなことだけど、でも、
一番大切な愛を、自分たちの両手で掴みたい。




 どうかお元気で年末をお過ごしになり、新しい年をお迎えくださいませ。
 次回は、お正月三が日が過ぎ、お休みが明けた頃お目にかからせて頂きます。

 「メリー・クリスマス! & ハッピー・ニューイヤー!」

                                            2023年 12月
                                            今井登茂子
                                          
                                                    

                                       
NEWS

平和音楽朗読会につきまして

      ご来場いただきありがとうございました。

  会場: カトリック城山教会 (長崎県長崎市若草町6-5)
  日程:2023年8月5日土曜
  


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