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No.391
4月 卯月
| 今、大好きなCD「ボヘミアの憂愁」をBGMに、この季節のたよりと向き合っています。 ドヴォルザークの「ロマンス」や、スメタナの「売られた花嫁序曲」など、長く親しまれてきたクラッシック、 どこかなつかしい雰囲気の曲ばかり。 お元気でしょうか! それにしても、たった一日で、気温がきょうは20度、……エッ20度?…と、信じられない 激しい気温の変動ですね。 なんだか、つられて、と云うのも変ですが、地球温暖化の末にたどりつく、未来の人間の姿を描いた SF小説を読みました。 「摂氏千度、五万気圧」(関元聡著・早川書房) 第13回ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作です。 細かいディテールの説明は省きますが、とにかく、今のこの地球には住めなくて、他の人工的な 環境の中で暮らして行く物語で、身につまされ、一気読みしてしまいました。 とても、他人ごとではなくて。 そして、近所の目黒川の桜を見上げながら、もし、この地上から人間が全て他の星に移住したと しても、誰も居ない中で、この桜たちは、やはり、季節がくると、ひたすら、咲き続けるのかな…… と思ったりして。 もうご存じかと思いますが、 ここ渋谷に唯一残っていた西武デパートが、無くなる、というニュースを数日前知りました。 やっぱりね…… と云う感じが正直なところです。 私の生活圏は、まさにこの渋谷なのですが、 50年前には、少なくとも駅周辺には、市場があって、安く買える八百屋、威勢のいい魚屋、 駄菓子屋がありました。駅直結の東急デパートの靴屋などは、その品ぞろえの豊富なことで 本当に便利。 食品も、ほとんどここで用が足りました。暮らしに直結していました。 又、本店まで足を延ばせば、特殊なブライダル関係、車椅子や杖など健康補助用具も、 全てOK。時計の修理もここでした。 でも、全て、相次いで無くなり、 どうやら、建て替えるビルは、デパートではないとのこと。 事務、というか、オフィスビルなのでしょうか。 つまり、生活に直結した街ではなくなることは、明らかなようです。 渋谷はまた、「センスの良い都会人」の代名詞のような、西武グループの、 いわゆるセゾン文化と称する一大拠点だったわけですが、これも、あっという間に 消えて行くのでしょう。 気候変動の激しさも恐怖ですが、穏やかに楽しく暮らす基盤がどんどんそがれて行く日々は、 まさに、もう「SF」の中に半身をつっ込んでいるかのような不安が心をつっつく毎日を過ごして います。 変わる、変わらない、と云えば、先日こんなことがありました。 今年は、夫が急逝して19年目の春になるのですが、かつて二人で休日を楽しんだ、 神奈川県の逗子にあるリゾート施設に行ってみたところ、まるで時が止まったかのように、 風景がそのまま!にみえました。 白い壁、赤い屋根が、青い海をバックに「あの日と同じように」立っていました。 涙がせり上がってきました。 「……ヤシの木だけは、ずい分伸びた気がする…」 と、心の中で呟きながら、よく買いに行った海辺にある魚屋に行ってみたところ、 「エーッ、そのまんまだッ …!」 びっくりでした。 それは、当時からある、魚屋とは名ばかりの小屋なのですが、 まさに、その時採れた魚が、そのまんま桶の中にあったり、横の板でさばいていたりで、 小屋のボロさ加減も 浜辺のおだやかな日溜りも 床のガタガタに欠けたコンクリートも 「あぁ、あの頃とおんなじ!!」 19年もたっているのに、夫が横に立っている気さえして来て、身体も心も温かくなって、 言葉にならない倖せにつつまれたのでした。 「夢の中にいるみたい」でした。 生ワカメ、どっさり一袋500円也。 こんなにたくさん、食べ切れない、と心配は無用でした。 「その美味しさといったら!」も、あのころと変わりありません。 この至福のひとときは、今、心の支え、宝ものになっています。 風景は、心の財産なのですね。 うさぎ追いし 彼の山 小鮒つりし 彼の川 …… 山は青き ふるさと 水は清き ふるさと 私たち朗読「水の会」は、毎年夏、長崎に集って、平和を祈る朗読会を開いてきましたが、 今年もその19回目を迎えるにあたり、いよいよ、この4月から具体的な練習に入ります。 世の中、損か得かと、経済効率ばかりを優先させる価値観横溢の中で、ささやかではあっても、 でも、それでも平和を願って平和を祈って読みつないできた灯を消したくなくて、集っている仲間を なによりも、大切に、誇りに思って活動しています。 いつも、関心を持ち、見守り、支えて下さり、 本当にありがとうございます。 どうぞ、あなたもお元気で! 2026年 4月 今井登茂子 ![]() |
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