No.334


2020年 6月 水無月

 「緊急事態 全面解除」
 5月25日の記者会見で、安倍首相が表明!
 「はァ~…」と、なんだか肩の力がひとつ抜けた気がしましたが…
 「あれっ?」マスクだとか三密だの、と云う、いわゆる、生活上の自粛は、変わらないわけ
ですよね。

 と、姪が作ってくれた、ブルーの花模様のマスクをつけて中目黒まで食品買い出しに出か
けたら、
 びっくりしました、本当に… だって、
 陽気につられて、と云うこともあるでしょうが、
 目黒川の辺りを歩く人たちは、実に8割が、ノーマスク。
特に、おしゃれっぽい若いカップルは、きっちり口紅つけて、マスク無しで、手をつないで
闊歩していましたね。

 いったい、これからどうなるのだろう、第2波は確実と云うし、
「新しい生活様式を、今後も実践するよう(首相は)呼びかけた」
 と云うけど、「新しい生活様式」って、具体的に三密のこと以外に、なにを指しているのだ
ろう。
 あの透明ビニールシートでレジを区切り、その上マスクでしゃべるから、よく聞き取れない
こんなカゴの鳥のような生活が、いつまで続くのやら。

 「全面解除」という言葉は、誤解を生むと、ブツブツ独り呟きつつ、「今日」を生活しており
ます。
 コロコロ変わるコロナ禍の日々、「明日のことは、本当にわからない」。

 あなたは、如何ですか。
 どんな毎日を過ごしていらっしゃいますか。




 さて、この間、ほとんどの友人・知人が、口をそろえて云います。
「この際だから、片付けものをしたのよ!」と。
断捨離したので、サッパリした、と。

 分かりますね。
 ほとんどの女性が(男性はどうなのかナ)、「時間があるこの時期にやっておこう」と思っ
た気持ち。
 私もです。
 外出を控える中で、「よし、では、片付けるぞ」の意気込みは同じです。
 でも、失敗しましたよ。もうメチャクチャ。

 まず、本棚の前に立ち、ぐっと本をニラミ、見渡しました。
 溢れかえる本、棚に入らなくて、片っぱしから積みあがっている本。
 テーマごとに分類したいのだけど、ゆとりがないので関係ないところにはみ出している本。
 たとえば、夏の朗読会の勉強にと購入した、戦争関係の本は、もう山となっています。
 「ナガサキノート・母への遺書・父は特攻を命じた兵士だった・にんげんをかえせ・同期の
桜は唄わせない・平和の申し子たちへ・漆黒の長崎原爆投下からの九日間・未来への伝
言・父母の昭和史・東京大空襲・水木しげるのラバウル戦記・総員玉砕せよ・終戦直後の
日本・うしろの正面だあれ・私の東京平和散歩・わたしが子どものころ戦争があった・如己
堂随筆・駅の子の闘い・特攻最後のインタビュー・日本兵のはなし・子どもたちよ・ひろしま・
浮浪児1945・八月二日天まで焼けた・ホシコ・兄よ蒼き海に眠れ・半分のさつまいも・
ガラスのうさぎ・……(これでやっと半分ぐらいかな… うんざり… )


 で、私は、とりあえず、床の上に積み上げました。
 分類して、インデックス作って、できれば、毎日手に取る料理本は目の前に、こうした
戦争ものは、上の方、などと、意気込んだのはいいけれど。
 なんのことはない、
 残念ながら床の上にツンドクまでで、体力が続かず、そのまま放り出しました。
 「疲れたァ!」「もうダメだァ」「本って重いのよ」

 心意気はあっても、年齢を忘れてましたね。
 もう笑うしかないでしょ。
 今もそのままです。
 これじゃ、コロナ自粛以前の方がそれなりに片付いてて、ずっとましだったなァと、
行き場を失った本の山を、毎日、うんざりしながら横目でみております。




 本と云えば、この自粛中は、片っぱしから読みました。
 日々是読書タイム。
 お天気の日には、文庫本を持って、近所の公園のベンチでも読んでいました。

 我が家から徒歩十数分のところに、通称「大人ツタヤ」があり、
 ゆっくり座って選べる
 おしゃれなレストラン併設
 都心のわりには、みどりと空間に恵まれている
と、私の散歩コース、憩いの場。
 最初のうちはオープンしていたのですが、途中から閉館。

 そこで見つけたのが、中目黒駅近くに、ひっそり開いていた、小さな小さな本屋さん。
 そこと我が家を往復すると、丁度6000歩なのも手頃で。
 買っては読み、又、出かけて買ってきては読み、をくりかえし、ひっそり楽しみました。




 その本のジャンルを大きく分けると三ツ。
 (1) まずは、私の趣味である「音楽」と「絵画」に関する本で、
    「画家とモデル」(中野京子)
    「まぐだら屋のマリア」(原田マハ)
    「美しき愚か者ものたちのタブロー」(原田マハ)
    「残酷な王と悲しみの王妃」(中野京子)

 この、二人の著者の作品は、これまでにもかなり読んでいますが、ハズレがないのが
嬉しくて、楽しく、ワクワクし、周りが、ウィルスで暗くなってしまう中、ストーリーに埋没でき
て倖せでした。

 音楽の方では、自宅本棚にあったものを再読。
 「平原綾香と聞くクラッシクの扉」(平原綾香)
 「おわらない音楽」(小澤征爾)
 それに、村松稔之さんに関する二冊
 「歌声は贈りもの」(白井明大文・村松稔之歌)
 「音楽で生きていく」(青柳いづみこ×10人の音楽家・対談)

 尚、音楽に興味のある方にはおすすめの一冊
 「クラシック音楽前史」(松田亜有子)
 あのピタゴラスの定義のピタゴラスが、今日私たちが使っているドレミの音階の大元を
解明したなんて、全く知りませんでした。
 そして、このことを知ったから、私たち人類の祖先である、ホモサピエンスとネアンデルタ
ールの差異の話もピンときて、心ときめくこともできました。


 (2) SF小説
    ま、ずい分乱読しましたが、中でも驚嘆したのが
    「復活」(小松左京)
… 「今、コロナのことを知っていて書いたのでは」と本当にそっくりで、びっくりしました! 
リアルって、このこと!!
 でも、書かれたのは1960年代、今から半世紀も前の作品なのです。
 きっと、可能な限り調べ、その上に組み立てられたものなのでしょうね。
 その想像力のすごさに、脱帽です」。


 (3) コロナに関する本
    これ、あまりに読みすぎて、毎日目の前のテレビは、想像もできなかった現実を、
ずーっと放送するし、で、読んで、観て、が、ダブルパンチになって、気分が悪くなること
しばしばです。
 でも、興味津々で、読んでしまうのです。

 たとえば、たった今は三冊同時進行中。
 「感染症 対 人類の世界史」(池上彰・増田ユリ)
 「コロナの時代の僕ら」(パオロ・ジョルダーノ)
 「未来のルーシー」(中沢新一・山極寿一)
    これ、未来が見えて最高でした。




 こうして、片付けは失敗のまま、でも一つだけよかったことは、「自分を再確認できた」こと
でしょうか。
 もう、図書館の一つの棚が埋まりそうな、戦争関係の本!
  魂や死後の世界に関する本は、寝室の扉の中いっぱい。もう一冊も入りません。
 …などなど、うんざりするほどの本の洪水の中で、夫がいつも、褒めてくれていた一言を
抱きしめていました。
 「とも子は偉いね、決して近道はしないんだね」

 そう、反省することは切りがないほどあるけれど、
「そうなのだ、これが、私の良いとこなのだ。
 しつっこくても、うんざりするほどでも、遠まわりでも、納得のできるところまでやってみる
 自分。」
 そんな己の特徴を、夫のおかげで長所と認めながら、まだツンドク状態の本の中で、
過ごしております。




 そして、たぶん、今夜も東北に暮らす、唯一の幼なじみ、A子ちゃんと、戦時中の思い出
話を長電話しているでしょう。二人にしか共有できない思い出話を。

 そう、このコロナ禍の中で、戦争中の生活を思い出したのも、同世代の友人たちに共通
した出来事でした。
 空襲警報、の、サイレンのうなり声。
 灯火管制(空襲されないよう、電灯に黒い布を被せる)
 防空壕の中の、ジメジメした空気
 B29が飛来したら、手で目、耳、口を防いで地面に伏せる。
 ……などなど、強制的に生活を奪われた、私たち世代の幼い思い出が、この自粛の中で
頭をもたげてきました。
 楽しい思い出なんて、ひとつもナイ。

 中でも、私は、当時、「インフルエンザの大流行のように蔓延した結核」で、20代の若さで
亡くなった母のことを、どうしようもなくしつっこく、まるで、たった今の出来事のように、思い
出すのです。
 感染症の本を買っても、まず最初に開くページは、コロナではなく「結核」

 口惜しい。
 どうしようもなく口惜しい。
 あの志村けんさんが、発症から一ヶ月もしないで亡くなったように、母も、あっという間
だった。
 薬もナイ。
 食べるものもナイ。
 出来ることは、冬でも開けっ放しにして、空気を良くすること、と、今のコロナ対策と、
あまりにも同じ。
 頼りたい夫も、戦争で居ナイ。
 ナイナイづくしの中で、絶命した母を、その無念を、このコロナの中で、追体験してしまい
眠れなかったりして。

 そして、大人になった分、今だから気付ける「大人の都合」や「差別」だったのだろう…
などと、心傷つくマイナーなことばかり…。
 だから、このコロナ自粛生活は、辛くないといえば嘘になる…。



 でも、大丈夫!
 私は、しつっこいから、くどいから、だから「母の分まで生き抜いてやる!」との想いは、
相当強いのです。
 己の関心事には、とことん喰いつく、あの、溢れる洪水並みの本が、私に私をグイッと
見せつけてきた気がしています。

 愛は、行動で表わしたい。
 と、決意すればするほどに、
 今、私が大切にしている、朗読「水の会」の活動も、
 たとえ今年がダメでも、「その次」を見定めて、仲間の皆とGO!したい!!

 しつっこく!
 タフに!
 それが優しさへの道と信じて。


                                         2020年 6月 1日
                                            
                                            今井登茂子
                                                                                              


     


 
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