、
No.379
12月 師走
なんだか、なだれ込むように12月になってしまいました。 当マンションでは、各家のドアに、クリスマス用のドア飾りがキレイです。 こう云う日常の平和が続いて欲しいと、心から思います。 それにしても、まァ、世の中の移り変わりの激しさには、目を見張り、 ついて行けないことばかり。 特に、スマートフォン(スマホ)の急速な普及は、 私たちのコミュニケーションの在り方を「根本から変えてしまいつつある……」と、 実感する出来事ばかりの気がします。 たとえば、先般行われた、兵庫県知事再選の現実には、ただ驚いてばかりも いられません。 SNSっていったいナニ? ……その勢いで当選した知事と、県議会は、 これからどう向き合うの? などと、乖離してしまった現場を心配しているのは、誰しも同じなのでは? 報道の解説でも、毎日この問題が、とりあげられていますね。 ……… スマホ一つあれば、ほとんどの答えを手の中に収めているようなもので、 パッと押せば、スッと答えてくれる。 便利です。 又、いいねボタンを押せば、それだけで自分の意思があっという間に示せるし、 発言も遠慮せず、あっという間。 でも、こればかりを便利便利と頼っていていいのか…… と、疑問だらけの中、 私は、相かわらず絶対に手離せない「紙の本」を愛読し、先日心に沁みる何冊かと 出会いました。 そのうちの一つ 「高倉健の図書係」(谷充代著・角川新書) サブタイトルに、「名優をつくった12冊」とあります。 名優・高倉健は没後約10年。 寡黙な方なのかなァ…と、なんとなく感じつつ、好感をもってみてはきましたが、 特に大ファンと云うわけではありません。 それに、この「図書係」と云うのが、どう云うことか全く分かっていませんでした。 が、面白かった! 「健さん」は、実に読書家で、この谷充代さん(ルポライター・フリー編集者)さんに、 本を探して下さいと、本係を依頼。 その本と云うのは、特に、神保町あたりを駆けまわらなければ見つからない 古い文書だったり、絶版本だったり、と云う間柄。 「健さんは、本に赤いアンダーラインを引き、いいナと思うと手元に置いておきたい タイプ。 くりかえしくりかえし、何度も何度も読み直す。」 と、紹介されています。 そう、その掌中に宿る「ことば」を、「真意」を高倉健は、時間をかけて呼吸し、租借し、 身につけて行ったことが、鮮やかに分かるのです。 お見事! です。 そして、この本の中で、思わず笑ってしまったほど、心和んだのですが、この人の持つ。 ユーモア精神でした。 ー 谷 充代様、 お姫様御誕生本当におめでとうございます。 心からお祝い申し上げます。 どうぞ性格の飛び切りいい女性にお育て下さい。 花婿候補の一人として強く希望します。 お姫様のお散歩のお供に使って戴ければ嬉しいです。 年の瀬に向います。 呉々も御身体お大事に。 御主人さまにもよろしく。 平成二年十二月六日 高倉 健 (本文より引用) これは、健さんから著者 谷充代さん出産時にベビーカープレゼントのサプライズ、 に添えられたお祝いの手紙。 なんて真心のこもった手紙だろう、と感心してしまいました。 普通なら、こんな立派なものを頂いてしまい、と 恐縮してしまうところ、 こう云われると、思わず心がほぐれ、あったかくて、「嬉しいッ」一色になれますよね。 そう、品の良いユーモアは、相手を理解し、その心に寄り添ってこそ出てくるもの。 緊張感をほぐし、しっかり抱きしめて笑顔にしてくれる人間ならではのコミュニケーション だと、改めて感じ入ったのでした。 私もユーモアの持てる人間に、なりたい。 アナログ人間、デジタル人間。 人それぞれ、自分のやり方で、今、を生きているわけですが。 どのやり方であろうとも、「人間らしい」生き方でありたい。 そのためには、なにを、どう選んだらいいのか、賢く考えたい、と、痛感する日々です。 12月、師走、慌ただしいの代名詞みたいな時間。 どうぞ、体調崩さないよう、気をつけてお過ごしください! 2024年 12月 今井登茂子 |
|